「若者の○○離れ」は若者自体の問題ではない
2015年1月12日
若者が様々なものから離れていった?
ここ数年、「若者の○○離れ」という話題をよく耳にする(「若者の車離れ」「若者のテレビ離れ」等)。
その内容も多種多様だ。
中には、ただの言葉遊びとして取り上げられているものもある(「若者の肉離れ」「若者の離れ離れ」「若者の凶悪犯罪離れ」等)。
以下に分野をざっと列挙した。
・食品関連(酒、外食、米、魚、お茶等)
・スポーツ関連(スキー、野球、サッカー、ゴルフ、相撲等)
・趣味、嗜好品関連(旅行、温泉、映画、タバコ、ギャンブル等)
・物品関連(自動車、バイク、腕時計、オーディオ、CD、PC、各種ブランド品等)
・情報媒体関連(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等)
・異性関連(恋愛、結婚等)
・生活関連(コンビニ、床屋、冠婚葬祭、マイホーム等)
・仕事関連(営業、飲み会、スーツ等)
一覧を見てもらえば分かるように、若者が多くのものから離れていった(とされる)ようだ。
生活全体から、以上の内容全てを抜いたら、何が残るのだろうか。
これら全てから離れている人は、おそらく居ないはずだ。
しかし、頻繁に話題になるだけあって、全体的に衰退していると思われる。
離れていないものを取り上げて分析する
逆に、離れていないもの(増えたものも含む)を推測してみたい。
・携帯機器(スマホ)、インターネット
・自転車、電車
・スーパー、ドラッグストア、100円ショップ、ディスカウントショップ(ドンキホーテ等)、ネット通販
・自炊
僕が思いついたものは以上だ。
離れたものと離れていないものを見比べると、「お金の出費」に相当の差がある。
基本的に、離れていないものの方が安く済む。
所得が下落しているのだから、当然といえば当然だろう。
一昔前と比べると、「自動車は所有せず、都市部に住みながら電車で移動し、スマホをあらゆる面(ゲーム・音楽・連絡・情報収集等)で活用し、買い物はディスカウント系の店やネット通販で購入し、外食は高いので自炊する」といった生活に変化している。
所得の問題以外にも、「ネットで代替出来るものは、ネットに切り替えてよりスマートに生活している」と感じる。
例えば、金持ちの人でも、ネット通販の方が便利なら、高い安いに関わらずそちらを利用しているとも読み取れる。
ネットの情報の方が早い上に検索しやすいなら、そちらをより多く利用するのも自然な事だと思う。
離れる事の何が問題か
「若者の○○離れ」現象について述べてきたが、そもそも何が問題なのだろうか?
僕の考えとしては、若者だろうが何者だろうが離れる事自体には何も問題はない。
若者は、不要なもの(車やテレビや新聞等)から離れていった(切り捨てた)に過ぎない。
「若者の○○離れ」を問題にしている(問題視したい)のは、離れられてしまった(切り捨てられてしまった)分野に関わる人達だ。
例えば、「若者の新聞離れ」は、新聞の売上減を意味する。
よって、困るのは新聞社の人達だ。
同様に「若者の車離れ」で困るのは自動車メーカーだし、「若者の米離れ」で困るのは農家や農協や農林水産省関係者の人達だろう。
どの○○離れも、若者自体は別に困っているわけではない。
ちなみに、「若者の○○離れ」の多くは、「消費者の○○離れ」に置き換える事ができる。
基本的に、消費者にケンカを売る生産者(企業)は居ないはずだ。
当然、若者も消費者だ。
それにも関わらず、「若者だったら悪者に仕立て上げても良い」という風潮が日本にはある気がする。
「若者の○○離れ」はその典型例ではないだろうか。
この風潮の方が、僕は問題だと思っている。