「脱社畜の働き方」を読んでみた
2013年9月13日
「脱社畜」というキーワードを広めた、脱社畜ブログさんの書いた本
「脱社畜の働き方」を紹介する前に、まず「脱社畜ブログ」を紹介したい。
「脱社畜」というキーワードを広めたのは、脱社畜ブログではないだろうか。
実際にグーグルトレンドで「脱社畜」を調べてみた。
「脱社畜」のトレンドを調べると、2012年10月から検索され始めた。
脱社畜ブログが開設されたのは2012年8月だ。
そして、「脱社畜ブログ」のトレンドを調べると、検索され始めた(人気が上昇し始めた)のは2012年10月である。
(脱社畜ブログにタイトルを変更したのはこの頃ではないかと思う)
グーグルトレンド 「脱社畜」の検索結果
グーグルトレンド 「脱社畜ブログ」の検索結果
以上の事から、「脱社畜」というキーワードを世間に広めたのは脱社畜ブログ、で間違いないと思っている。
もっとも、脱社畜という考え方は以前にもあった。
他にも脱社畜を勧めるサイトやブログは他にもある(当サイト脱社畜学もそのうちの一つだ)。
その中でも、脱社畜ブログの人気がダントツで高い理由は、以下の2点だと思う。
①日本の異常性(特に労働関係)を的確に指摘している。
②わかりやすく、読みやすい。
日本の労働環境はとにかくおかしい。 労働環境について、イライラしたり、モヤモヤしている人はいっぱい居るはずだ。 脱社畜ブログは、そのおかしな所の数々を適切に、そして、わかりやすく説明してくれる。 過酷な労働を強いられている日本の労働者のニーズにマッチしている、と言えるだろう。
僕も脱社畜ブログファンの一人である。
「脱社畜の働き方」の内容
さて、そんな脱社畜ブログ管理人の日野瑛太郎さんが書いた本が出版されたので、さっそく読んでみた。
本の内容は以下のとおりだ。
第1章 日本の職場は理不尽なことばかり
第2章 社畜にならないための考え方
第3章 僕が日本の仕事観に疑問を抱くようになるまで
第4章 プライベートプロジェクトのススメ
第5章 脱社畜の未来
すんなり読めるわりには内容が濃い。 日本の労働の異常性と脱社畜の必要性がわかる本だ。
脱社畜の話以外にも、日野さんの就職したくないという考えから起業に至り、失敗するまでの話は非常に興味深かった。 就職したくないという仲間達と一緒にウェブサービスを作って失敗したり、起業してソーシャルゲームを開発し、ゲームが当たったら何がしたい?という話題で盛り上がったり、ゲームの人気が衰退し会社をたたむに至るまで、すべての話が面白かった。 まるで小説か何かで、とある人物にスポットを当てたサクセスストーリー(実際には失敗しているが)を読んでいるかのようだった。
「精神的脱社畜」と「経済的脱社畜」
一番参考になったのは、「精神的脱社畜」と「経済的脱社畜」という考え方だ。 脱社畜の最終的な方法は、自分でお金を稼ぐ事になると思うが、お金を稼ぐのはとても難しい。 お金を稼ぐ事ができなければ、脱社畜が達成できなくなってしまう。
そこで日野さんは、まず第一段階として「精神的脱社畜」、第二段階として「経済的脱社畜」と段階分けをしている。
第一段階の精神的脱社畜は、自分の意志で今からでも実行できる。
会社を絶対視せずに距離を保ったり、日本における労働の異常な習慣(サービス残業とか会社に忠誠を誓うとか)を正すだけで良い。
文章の合間合間に、社畜の思考法と脱社畜の思考法の考え方が載っている。
例
社畜の思考法→自分はまだ半人前なので、残業代をもらうような権利はない。
脱社畜の思考法→時間外労働をしたのだから、残業代は堂々ともらう。
もし社畜の思考法になってしまっていたのなら、改めるべきだろう。
精神的脱社畜を達成した上で、第二段階の経済的脱社畜を目指す事になる。 しかし、経済的に自立するのは容易ではない。 日野さんは、多くの人は「精神的脱社畜」まで達成できれば良い、と作中で考えを述べている。 けれども、作中に自分で安全にビジネスを始める方法、「プライベートプロジェクト」を紹介している。 プライベートプロジェクトとは、会社で働き収入を得ながら、自分だけのビジネスを始める方法、らしい。 リスクも初期投資もそんなに必要がないビジネス(スマホアプリの開発やブログ・サイト制作、電子書籍販売等)を紹介してくれる。 もし、自分だけのビジネスが失敗しても、失うものは自分の時間ぐらいで、経済的な損失はない。 自分で稼ぐ方法があるという事を知っておけば、例え経済的脱社畜には至らなくても、会社に完全依存する事はなくなるだろう。
その事を教えてくれるだけでも、この本には価値がある。
労働について考える良本
「脱社畜の働き方」は、自信を持ってオススメできる一冊だ。
この本を読むべき本当の読者は、会社に忠誠を尽くす社畜真っ最中の方々だろう。
だが残念ながら、社畜はこの本の存在を知らないだろう。
そんな社畜な方々にあなたが、「脱社畜の働き方」と「脱社畜ブログ」を勧めてみてはいかがだろうか。
この本をキッカケに、日本人の労働価値観が少しでも変わってくれれば、と願わずにはいられない。