このサイトについて

社畜について

ブラック企業について

社畜にならないために

ブラック企業を見極める

日本の現状

収入について

FX

支出について

コラム


新入社員にオススメの本

2014年4月18日

「新人研修対策をしておこう」へのアクセスが増えた

2014年になってから、4月が近づくほど新人研修対策をしておこうのアクセスが増えた。
「洗脳研修」とか「ブラック企業 新人研修 洗脳」といった検索キーワードで、脱社畜学にたどり着くようだ。

ブラック企業が話題になっている事もあり、企業から内定をもらった後も不安なのだろう。 おそらく、この傾向は、来年も再来年も変わらない。 そこで、ブラック企業に怯える新入社員にオススメの本を紹介しよう。

野口悠紀雄氏の「1940年体制」だ。

本来なら、自己啓発本とかモチベーションを高める本を紹介するべきなのかもしれない。
だが、意識を高めたり、モチベーションを上げたりするよりも、「日本の企業や労働習慣について知る方が将来的に重要」だと僕は思う。

社畜の起源のページでも説明したが、1940年体制とは、「現在の日本経済を構成する主要な要素は、戦時期に作られた」という野口氏の仮説である。
つまり、この仮説が正しいなら、「戦時期(1940年前後)と現在では、基本的な経済システムは変化していない」という事だ。 現在の日本の様々な制度や体制や習慣の多くは、戦時期から継承されている。

異質な「年功序列賃金」「終身雇用」

1940年体制は、日本の企業を知るには最適の本である。
「日本」を敢えて強調した理由は、日本の企業や労働習慣が、世界的に見ても異質だからだ。
日本特有と考えられているものは、昔から存在していたわけではない。 戦時期に、「戦争」という目的の為に導入されたものが多い。

例えば、日本型企業の特徴として、「年功序列賃金」「終身雇用」がよく挙げられる。
しかし、これらは戦時期に形作られたものだ。 戦前は、欧米と同じような働き方をしていた。 これらは、軍需品の緊急増産の為に誕生した仕組みだ。
当時は、企業を転々としていた出稼ぎ労働者が多かった。 労働者がひとつの企業に留まってくれなくては、軍需品の生産が安定しない。 だから、労働者が企業に留まるように考えだされた仕組みである。

そもそも、年功序列賃金も終身雇用も異質である。 なぜなら、どちらも「企業が長く存続する事」が前提となっているからだ。

当然の事だが、永遠に生き続ける企業など存在しない。 人生の内、労働に関わる年数は大体40年だろう。
企業が40年存続する確率はどれくらいだろうか?
加えて、その間、リストラされない保障はあるのだろうか?

年功序列賃金も終身雇用も日本型企業の特徴と言われているが、その恩恵を受けられたのは、ごく一部の限られた世代だけである。

戦時期に作られた制度

企業や労働習慣だけではない。 戦時期に作れれた制度や習慣が、日本国民の生活に根付いている。

日本の高い貯蓄率も、元は戦争の為だ。
「贅沢は敵だ」というスローガンからもわかるように、国民は節約を強制された。 なぜ、節約を強制されたのかと言うと、政府は国内の資産を軍需品製造にまわしたいからだ。 お金を娯楽に消費されては、政府にとって困るのである。
(現在の貯蓄率は著しく低下している。詳しくは「貯蓄率」参照)

下記は、1942年に制定された「日本銀行法」の第一条と第二条だ(1997年改正)。

第1条 日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為国家ノ製作ニ即シ通貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス
第2条 日本銀行ハ専ラ国家目的ノ達成ヲ使命トシテ運営セラルベシ

第1条を僕なりに要約すると、「日本銀行は、国民からお金を巻き上げ、そのお金を軍事関連企業にまわす事を目的としていますよ」となる。
第2条の「国家目的ノ達成」とは、具体的に記されていないが、「戦争に勝つ事」なのは明白だ。
そして、終戦後の「国家目的」は、「経済戦争」に変わっただけだ。

この法律は1997年に改正された。 恐るべきは、第二次世界大戦後、半世紀にもわたってこのまま運用されていた事だ。

新入社員に限らず多くの人に読んでもらいたい本

この他にも、日本特有と思われている習慣や制度は、戦時期に作られたものが多い。 すべてを説明しきれないので、興味を持った方はぜひ「1940年体制」を読んでもらいたい。

新入社員に限らず、すべての日本人に読んでもらいたい本だ。

<<  前のページ  「レシートは受け取っておこう
inserted by FC2 system