日本に蔓延する正社員教
2014年6月5日
日本人の大半は正社員教
日本人は無宗教が多いと言われる。
実際には、クリスマスや初詣等、宗教上の習慣を実践していたりする。
また、生まれた時から仏教に入信させられている場合もある。
しかし、「本当に神や仏を信じているわけではない」という意味では、無宗教と言っていいだろう。
だが、「日本人だけが無意識に信じている宗教がある」と僕は思っている。 「正社員教」だ。
例えば、母親から「就職活動してるの？ちゃんとセイシャインになりなさい」と言われた事はないだろうか？
ハローワークで「○○さんってセイシャインだったんですよね？どうして辞めたんですか？」と質問された事は？
「セイシャインになるための履歴書の書き方は～」と指南している書籍を読んだ事は？
通勤時に「派遣からセイシャインに！」のような広告を見かけた事は？
「セイシャイン」とは、正社員教のお経かなにかだろうか？
正社員教の被害にあった話
先日、引越し予定の友人と一緒に不動産屋に行った。 友人のついでに物件を検索したら、現在住んでるマンションより良い条件が多い。 友人の住むところが決まった後に、僕もいろいろな物件を紹介してもらった。
気に入ったマンションがあったので、契約しようと思ったら、そのマンションのオーナーに断られた。 断られた理由が「セイシャインではないから」との事だ。
僕は、今のところ、生活費を補える程度ではあるが、個人で稼いでいる。 僕の年収は、非正規雇用の平均年収のページで紹介した、労働者全体の平均年収よりは低い。 よって、「年収が低いからダメ」という理由で断られるなら理解できる。 しかし、「セイシャインではないからダメ」では理解できない。
不動産の営業マンに確認をとった所、アパートやマンションの賃貸契約は、多くの場合、連帯保証人が居るか、もしくは保証会社を通せば問題ないとの事だ。
僕はお金の問題かと思い、家賃の1年分（それでもダメなら2年分）の先払いを申し出た。
それにも関わらず、結果は変わらなかった。
交渉はマンション管理会社を通して行われているので、そのマンションオーナーの性別や年齡等はわからない。
わかったのは、「そのマンションオーナーは正社員教信者である」という事だけだ。
「正社員」は法律で定義されているわけではない
日本人が普段使っている「正社員（セイシャイン）」という単語は、法律で明確に定義されているわけではない。
明確な定義がない為、人によって正社員の意味が大きく違う。
「福利厚生が充実している従業員」が正社員だと主張する人もいる。
「契約期間の定めがない従業員の事」を正社員だという人もいる。
契約しようとしたマンションオーナーが考えている正社員の意味は、「バブル崩壊前の待遇の良かった頃の従業員」ではないかと僕は推測している。
法律で定義されているわけでもなく、人によって定義が異なるあやふやな単語が「正社員」だ。
「正社員ではないからダメ」という理由で断られるのは、やはり納得がいかない。
正社員は安泰か
正社員教では、「セイシャインになれば安泰」という考えが根強い。
僕は企業に雇われて働いていないし、法人を作って活動しているわけでもない。
正社員ではないし、契約社員、フリーターでもない。
正社員教信者にとって、僕のような生き方をしている人物は、さぞ不安定な生き方をしているように見えるのだろう。
ところで、正社員は本当に安泰なのだろうか？
今話題のソニーを例に出そう。
2012年度は415億円の黒字。
2013年度は1284億円の赤字。
2014年度は赤字予想。
ソニーは一応、製造業に分類される。
だが、営業収入の大半が金融業の為、もはや製造業と分類していいのかは疑問だ。
2012年度は黒字ではあるのだが、本社ビルや工場を始めとする資産を売却し、無理やり黒字にした形だ。
今後も黒字化の目処が立たなければ、倒産するだけだ。
ちなみに、ソニーの例に出した理由は、上記の引越しした友人の親戚がソニーの従業員として働いているからだ。
もちろん、正社員としてである。
正社員として働いているが、「定年退職前に倒産するんじゃないか（もしくはリストラされるんじゃないか）」と毎日が不安なのだそうだ。
正社員は安泰であるはずなのに、不安な毎日を過ごしているとはおかしな話である。
これが、かつては入社すれば一生安泰だと思われていた大企業の現状である。
ソニーに限らず、シャープ、NEC、パナソニック、日本航空（JAL）はどうだろうか。
当然だが、大企業に限った話ではない。 大企業がコケれば当然中小、零細企業にも多大な影響がある。 ニュースを見れば経営悪化、吸収合併、業務縮小、リストラと不景気な話には事欠かない。
もう一度言うが、正社員は本当に安泰なのだろうか？
正社員教という邪教から目覚めよう
正社員になりたい、正社員になれば安泰と考えている人は、思いのほか多い。 上記のように思っている人は、怪しげな宗教団体（すなわち正社員教）に騙されているようにしか見えない。
みんなが思い描いている正社員は、過去の幻に過ぎない。 バブル崩壊前の1980年代後半から1990年代前半までは、確かにみんなが理想とする正社員の姿があった。 それがバブル崩壊後には、霧散してしまった。
もし、あなたが正社員になりたいと思っているのなら、そんなものは捨ててしまった方がいい。 現在の日本では、完全にファンタジーの類だ。