『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』は脱社畜入門書としてオススメ
2014年2月22日
『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』を読んでみた
脱社畜ブログの管理人、日野瑛太郎さんの二冊目となる本が出版された。 今更ながら読んでみた。
本書は以下の章で構成されている。
第1章 あ、今日は用事があるんで定時に失礼します。
第2章 いえ、それは僕の仕事じゃないんで。
第3章 は、将来の夢は毎日ゴロゴロ寝て暮らすことです!
第4章 えー、「従業員目線」で考えますと……
本書のタイトル同様、現在の日本の労働環境にケンカを売っているかのようだ。
日本の労働環境はガラパゴス化している。 世界的に見て、日本の労働環境は異常だ。 本書は、その異常な点をひとつひとつ指摘してくれる。
例えば、日本では従業員の立場でも「経営者目線」を強要される事がある。
この経営者目線は、経営者に実に都合が良い。
有給休暇の取得は、従業員目線では得になるが、経営者目線では損になる。
残業代の請求は、従業員目線では得になるが、経営者目線では損になる。
だから、「経営者目線」を持ってしまうと、「有給休暇の取得も残業代の請求もしない方が良い」という事になってしまう。
そもそも従業員が経営者と同じ立場になって物事を考えても、給料は従業員のままだ。
経営者目線を持つのは、経営者になってからでよい。
こういった例のように日本の労働習慣は、経営者に有利に働く事が多い。 現在の働き方に疑問がある人は、ぜひ読むべき本である。
本書を読んでガッカリした
実は本書を読んだ最初の感想は、「ガッカリした」だ。
なぜなら、脱社畜ブログに書いてある事だったり、日本の労働環境を批判する本やサイトの内容とほぼ同じに感じたからだ。
実際に、僕と同じような感想を抱いた人も多いようだ。
アマゾンのレビューで低評価を付けている人が多い。
では、「本書に価値はないのか?」と問われれば、僕の答えは「否」だ。
本書には十分な価値がある。
アマゾンのレビューで低評価を付けたのは、「脱社畜上級者」と呼んでもいい人達だ。 脱社畜上級者が本書を読むのは、義務教育を終えた大人が、小学校低学年用の教科書を読む事に近い。 つまらないと感じるは当然だろう。
本書がアマゾンのレビューで低評価な理由は、主に以下の2点だ。
・脱社畜ブログに書かれている内容と同じ
・日本の労働環境を批判する本やサイトは他にもある
確かに、本書は脱社畜ブログに書かれている内容と同じ箇所がある。
だが、脱社畜ブログを読んだ事がない人には関係のない話だ。
読んだ事がない人には十分に面白い内容である。
確かに、日本の労働環境を批判する本やサイトは他にもある。
だが、社畜の目に届いていないのが現状だ。
僕の体感だと、脱社畜上級者は労働人口の5%未満だ。
20人に1人の割合で居れば良い方である。
本書のような脱社畜のきっかけになる本はたくさんあった方が良い、と僕は思っている。
『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』は脱社畜入門書となる
脱社畜初心者の気持ちになって再読した所、とても為になった。
わかりやすく、面白くまとめられている。
脱社畜初心者が読むには良いと思う。
もし、本屋で『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』というタイトルに惹かれたなら、買うべきだ。
現在の働き方に疑問を持っている人には最適の本である。