アメリカはなぜ強いのか?
2015年6月29日
日本人のアメリカに対するイメージ
外国と聞いて、まず最初にイメージする代表的な国は、アメリカ合衆国だろう。
第2次世界大戦において日本を負かした国。
その際に決め手となった、原子爆弾の投下。
他国を圧倒するGDPや、強大な軍事力。
20世紀には自動車の生産ラインを生み出した。
現在では、グーグルやアップルのような先進企業が誕生した。
多くの日本人は、アメリカに対して、上記のようなイメージを持っていると思う。
他に付け加えるなら、太った人が多いとかハリウッド映画とか拳銃・戦争だろうか。
戦争に負けた事情から、アメリカを嫌う風潮も今だに根強いようだ。
いずれにせよ、アメリカ合衆国は日本だけではなく、あらゆる国に対し、多大な影響力がある。
アメリカの強さの秘密
アメリカはあらゆる点で、最強といっても良い程に強い。
では、その強さの秘密は何だろう?
僕の考えを述べたい。
アメリカ合衆国は、50の州から成る連邦国家だ。 「州」は連邦国家を構成する「国」を意味している。
州ごとの独立性は非常に高く、法律も違う。
例えば、死刑制度を採用している州(カリフォルニア州やアイダホ州等)と廃止している州(ハワイ州やミシガン州等)がある(近年ではメリーランド州が2013年に死刑制度を廃止した)。
所得税(州税)がない州(テキサス州やワシントン州等)もある。
教育内容も、州や州内の学区によって、大幅に異なる。
気候も、寒帯から熱帯まで存在する。
自動車がないと移動が不便な州もある一方で、ニューヨーク州のように24時間地下鉄が走っている州もある。
要するに、州ごとに全然違う。
それが50も集まっている。
そして、アメリカはあらゆる人種が集う移民の国だ。
日本中から東京に人が集まるのと同じように、世界中からアメリカに人が集まる。
以上をまとめると、現在のアメリカは様々な要素を内包した、多様性のある国だ。
「国」と言うよりは、「世界」と言い換えてもいいだろう。
アメリカ合衆国という多様性のある国
国や企業が衰退するのはなぜか?で述べたように、世界は、時代ごとに主役となった国が交代し続けてきた。
一時期世界を支配した国も、周りの条件の変化に伴い衰退した。
国は衰退してしまう法則から逃れられないように感じる。
しかし、「国」の集合体ならどうだろう?
20世紀、ミシガン州で、自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、クライスラーの3社が誕生した。
自動車産業がミシガン州とデトロイトの主要産業となり、アメリカ経済を支えた。
だが、今では自動車産業の不振により衰退した。
デトロイトは全米トップレベルの失業率、犯罪発生率が高い都市になり、町並みは廃墟のようになっている(デトロイトの廃墟写真を見ると、ゲームのファイナルファイトの世界を思い浮かべてしまう)。
ミシガン州の衰退は、アメリカ合衆国に多大な影響を及ぼした。
それでも、アメリカ合衆国全体が衰退したわけではない。
現在のアメリカの中心は、カリフォルニア州のシリコンバレーだ。
そこでは、グーグルのようなハイテク企業が集まっている。
また、先端金融が栄えているニューヨークのような州もある。
じゃがいもならアイダホ州、とうもろこしならアイオワ州やイリノイ州、といったように大規模農業が盛んな州も多い。
このような多様な国の集合体なら、ある国が駄目になっても、他の国が補う。
故に、全体として破綻せずに済む。
アメリカの多様性を日本は見習うべき
多様性のあるアメリカ合衆国は強い。
「単に強いだけではなく、問題があっても柔軟に対応できるシステムをもった国(の集合体)」だと僕は考えている。
一方、日本の都道府県は、アメリカの州とは違い、法律、税金、教育システム等、ほぼ共通していて、多様性がない。
主要産業ですら、日本全国同じように見えてしまう。
このような多様性がないシステムだと、うまくいっている時は良くても、状況が悪くなると日本全体がダメになってしまう。
「日本はアメリカのすべてを真似しろ」とまでは言わない。
だが、見習うべき点は多々あると僕は思う。