アベノミクスで給料は上がらない
2013年10月17日
アベノミクスで何が変わったか
アベノミクスで景気が良くなったらしい。
アベノミクスで日本が復活したらしい。
ところで、アベノミクスとはいったいなんだろうか。
wikiの説明によると、
アベノミクス(またはアベノミックス、安倍ノミクス)とは、自由民主党の政治家・安倍晋三が第2次安倍内閣において掲げた、一連の経済政策に対して与えられた通称。安倍とエコノミックスを合わせた造語。
との事だ。
アベノミクスによる経済政策から大体1年が経過した。
実際にいろいろな変化があった。
特に変化の大きかった株価と為替について述べてみる。
株価
日経平均株価は2012年10月に8000円前後だったが、2013年10月には14000円前後になった。
大体1.75倍くらいだろうか。
株の価値が上がるのは、本来であれば喜ばしい事だ。
だが、今回の値上がりは、バブルである。
基本的に株価は企業の実力を示すものだ。 何か画期的な商品を作ったとか、便利なサービスを提供するとか、他企業に真似できない事をすれば株価は上がる。 海外の大企業は世界的にもよく知られているし、時価総額も高い。 マイクロソフトのOSはみんなが使っているし、アップルのiPhoneはよく売れたし、グーグルのサービスは便利なものばかりだ。
では、日本企業はどうだろうか。 この1年で株価が上がるほどの何かを成し遂げただろうか。
例えば、今話題のシャープを見てみよう。
2011年度は約3760億円の赤字。
2012年度は約5000億円の赤字。
海外企業のサムスンやホンハイに助けを求めたり、リストラに励んだりといろいろ忙しそうだ。
シャープの将来は誰が見ても暗い。
だが、そんな企業でも、株価が1.5倍になっているのである。
この事は、バブル以外に説明できない。
為替
ドル円の為替レートは2012年10月に80円前後だったが、2013年10月には100円前後になった。
この事により、輸出をメインとする一部企業の収益が増加した。
特に、大手自動車メーカーは、軒並み黒字となったようだ。
だが、円安によって利益を得た企業はごく一部に過ぎない。 ほとんどの企業は、輸入費の増加により利益が減少、もしくは赤字になっている。
ところで、円安は喜ばしい事なのだろうか。 ニュースや新聞を見てみると、円安は歓迎の方向のようだ。
はっきり言って、円安は喜ばしい事ではない。 円安とは、円の価値が安くなる、という事を意味する。 つまり、円を持っていた場合、相対的に見て円の価値が下がるという事だ。 大多数の日本人は、日本円しか持っていないだろう。 実際に給料で支払われる通貨のほとんどは日本円である。 だから、アベノミクスによって、日本人は損をしている。
給料の額は上昇したか
アベノミクスによって為替は円安になり、相対的に見て円の価値が下がったと述べた。 しかし、その分、貰える給料が増加していれば問題ない。 では、実際に給料は増加したのだろうか?
比の計算をしてみよう。
一年前のドル円の為替レートを80円、現在のドル円の為替レートを100円、一年前の月給を仮に20万円、現在の給料をXとする。
式は、
一年前のドル円の為替レート:現在のドル円の為替レート=一年前の月給:現在の月給
となる。実際の数字を当てはめると、
80円 : 100円 = 200000円 : X
80X = 20000000
X = 250000円
となる。
よって、一年前の月給が20万円の人は、現在は25万円になっているはずだ。
現在会社勤めしている人は、自分の月給で計算してみよう。
一年前と比べて、月給が大体1.25倍になっていなければ、損をしている事になる。
(為替レートは日々変化するので、当時のレートと現在のレートを調べて計算をしよう)
アベノミクスで従業員の給料は上がらない
では、アベノミクスで従業員の給料は上がったのだろうか。 少なくとも僕の周りで、会社からの給料が上がった、ボーナスが増えた、なんて話は聞かない。 おそらく、従業員の9割以上は給料の額は変わらない、もしくは下がっているのではないだろうか。
アベノミクスで景気は良くなったか
景気とは経済活動状況の事を指す。 要はお金が流動しているかどうかだ。 好景気ならお金が動いているし、不景気ならあまり動きがない。 通常、好景気なら従業員の給料も上がる。 企業が従業員や設備に投資をするからだ。
アベノミクスにより、景気は良くなった。
しかし、企業は従業員に投資していない。
企業は、稼いだお金を従業員以外に投資しているか、内部保留している。
つまり、従業員とは関係のないところでお金が動いている。
企業が輸出で利益を得ても、株価が上がっても、従業員には関係がないのである。
アベノミクスで得をしたのは、ごく一部の企業や投資家だけだ。
与党が日本国民にとっては不利益にしかなっていない政策を実行して、支持率を得ている。 この現象は実に不可思議だ。