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「社畜のススメ」を読んでみた

2013年9月18日

あえて正反対の考えに触れてみた

当サイトは脱社畜を勧めるサイトだ。 前回は「脱社畜の働き方」を読んだが、僕とは真逆の考えを持つ人の主張にも触れた方が良いと思い、「社畜のススメ」を読んでみた。 清々しいくらいに、社畜の生き方を勧めてくれる。

社畜のススメの趣旨は、実に単純明快、会社の歯車になれ、というものだ。
内容を適当に箇条書きでまとめてみた。
・最初は右も左もわからないのだから会社の言うとおりに仕事をしろ。
・個性を尊重するな。
・ビジネス書の内容が参考になるのは天才だけ。凡人は会社の命令に従った方が良い人生を歩める。
・下積みが大事。最低10年は続けろ。

著者の考えが通用するのは、景気が良かった時代だけで、バブルが崩壊した今の時代では通用しないと思う。 タイトルを「会社人間のススメ」または「企業戦士のススメ」として、好景気の時代に出版すれば、それなりの共感を得られたのではないだろうか。

お金の話をしない経営者は信用できない

僕が社畜のススメを読んで一番に思ったのは、労働対価についてはまったく触れていない、という事だ。 1990年より前の時代では、働けばそれなりの労働対価が得られた。 1990年より後の時代では、頑張って働いても労働に見合った対価を得る事はできない。 著者が働いていた時代では、会社の為に尽くす意味はそれなりにあった。 今の時代では、無駄な努力にしかならない。 人がなぜ働くかと言うと、お金を稼ぐ為だ。 働く見返りとなる報酬が少なければ、会社に尽くす意味もない。 著者は、労働対価(というよりお金)という大事な事を、華麗にスルーしている。

著者の主張は今の時代の従業員には受け入れられない

ところで、著者はサラリーマンから順調に出世し、取締役になる、という典型的な日本の経営者だ。 現在は、会社を設立して取締役との事だ(残念ながらその会社は、従業員や元従業員からの評判は悪いようだ。)。 1961年生まれで、大学卒業後就職したみたいなので、働き始めたのは1984年くらいだろうか。 バブル真っ只中の景気が良い時代だ。 そんな幸運な時代に生まれた人の考えは、今の時代の従業員と話は合わないだろう。

この本の最後に「社畜のススメ」を読んだ若手サラリーマンと著者の対話がある。 若手サラリーマンは、「会社の言うとおりに社畜となって、本当に良い人生になるのだろうか?」という旨の疑問を著者に投げる。 面白いのは、若手サラリーマンが一言二言発するたびに、著者がものすごい勢いでまくし立てる。
自分の主張で若手サラリーマンの意見を上書きする感じだ。 結局、若手サラリーマンを納得させる事ができないまま話は終わる。

老人が若者に、
「俺の若い頃は会社の為、がむしゃらに仕事に励んだ。そのおかげで今の地位にいる。お前も俺と同じ事をしろ。そうすれば上手く行く。」
と、主張を押し付けているだけだ。
老人と若者では、時代も考え方も違う。 著者の対談に付き合わされた若手サラリーマン(著者の運営する会社の従業員だろうか?)は、相当苦労した事だろう。

老害がどんな考えを持っているかを知る一例になる本としてオススメ

この本の良い所は、好景気を経験してきた老人と不景気しか味わった事のない若者では、考えがまったく噛み合わない、と教えてくれる事だ。 好景気時代を経験し、現在高い地位にいる人物(簡潔に言えば「老害」)は、自分の意見が間違っていたとしても、頑固で主張を曲げない人が多い。 そんな老害の考えを知るには良い本だろう。

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