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「やりがい」に騙されない

2014年3月18日

発明された「モチベーション」「やる気」、そして「やりがい」

以下の本に興味深い事が書いてあった。

上記の本によると、「モチベーション」や「やる気」という単語は、バブル崩壊前は雑誌にあまり登場しなかったそうだ。 それが、バブル崩壊後に急増した。
著者の坂口孝則氏は、バブル崩壊後に「モチベーション」や「やる気」が発明された、と言っている。

高度経済成長期からバブル崩壊前までは、何をやっても儲かる時代だった。 何をやっても儲かるので企業は、労働者に気前良くお金を支払えた。
バブル崩壊を境に、この状況は一変した。 今まで支払えたお金が払えなくなった。 年収が低下しただけでは、労働者は納得しない。
そこで発明されたのが、「モチベーション」や「やる気」、そして「やりがい」だ。

「やりがい」の雑誌登場回数や検索推移を調べた

「モチベーションで仕事はできない」は、モチベーションに関する本だ。 「モチベーション」と「やる気」は調査されていたが、「やりがい」は調査されていなかった。 僕の考えている事が正しいなら、モチベーションと同様に「やりがい」もバブル崩壊後に使用頻度が増えているはずだ。 そこで、雑誌登場回数と検索数を調べてみた。

雑誌登場回数は、国会図書館の雑誌検索で「やりがい」を検索した。

やりがいの雑誌登場回数。バブル崩壊後に「やりがい」という単語が顕著に増加している。

調査元:国立国会図書館蔵書検索

図からわかるとおり、バブル崩壊前は、やりがいという単語はあまり使用されていなかった。 バブル崩壊後、顕著に増加した。

また、グーグルトレンドで「やりがい」の検索推移を調べた。

グーグルトレンド 「やりがい」の検索結果

「やりがい」という検索は、増加傾向である事がわかる。 リーマンショック以降、さらに増加しているように見える。 グーグルトレンドでは2004年までしかさかのぼれないので、憶測に過ぎないが、バブル崩壊前は頻繁に使用されなかったのではないだろうか。

「やりがい」と「年収」

「やりがい」は、バブル崩壊後に雑誌登場回数や検索数が増加している事がわかった。
一方、バブル崩壊後に減少しているものがある。
年収や待遇だ。

「やりがいの雑誌登場回数」と「労働者の平均年収」を図で照らし合わせた。

やりがいの雑誌登場回数と労働者の平均年収の推移。やりがいの雑誌登場数や検索数がバブル崩壊を境に増加している一方、労働者の平均年収は減少傾向である事がわかる。負の相関があると言える。

上記の図から、やりがいと平均年収は負の相関があると言える。

成長しない経済において、年功序列賃金は成立しない(年功序列賃金とネズミ講の類似性参照)。
だから、企業は本来の労働価値以下の報酬で満足する労働者を求めはじめた。
都合の良い労働者を求めるだけでなく、労働者を本来の労働価値以下の報酬で満足するようにも仕向けてきた。

やりがい」、「」、「成長」、「自己実現」という都合の良い言葉が発明されるに至った。

「やりがい」に騙されないようにしよう

僕は別に、仕事に対してやりがいを持つなと言っているわけではない。 ただ、やりがいは経営者や上司から強制されるような代物ではないはずだ。
他者がやりがいをあなたに押し付けるのには、上記のような理由がある。

やりがいを強調する企業には、気を付ける事だ。
そんな企業は、正当な報酬のかわりに「やりがい」を支給する可能性が高い。
同様に、「夢」「成長」「自己実現」といったキーワードにも注意が必要である。

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