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社畜とブラック企業の関係

2014年2月18日

社畜は「燃料」

社畜はブラック企業にとって「燃料」でしかない。

よく企業は「機械」、労働者は「部品」に例えられる。 そして、社畜は部品ですらなく、「燃料」扱いだ。

「部品」であれば、燃料よりある程度の質が求められる。 歯車の回りが悪いと、機械の生産性が落ちてしまう。 だから、「部品」は優遇される。

他方で、「燃料」に質が求められる事はない。 多少質が悪かろうと、燃料であれば機械は動く。 燃料は使い捨てというイメージがある。

そして、ブラック企業という「機械」は、燃料をガンガン使う。 機械の燃費はものすごく悪い。 本来であれば、機械の燃費が悪ければ、燃費効率が良くなるように改善される。 しかし、燃料が安く大量に手に入る為、改善しようとしない。

労働の価値が低下している

ところで、燃料は安いのだろうか。
実際の燃料--例えば原油と天然ガスの価格を見てみよう。

WTI原油価格の推移。年々上昇傾向な事がわかる。世界経済のネタ帳より。

WTI原油価格の推移

日本の天然ガス価格の推移。年々上昇傾向な事がわかる。世界経済のネタ帳より。

日本の天然ガス価格の推移

原油も天然ガスも価格が年々上昇傾向な事がわかる。
原油で言えば、
・新興国(中国、インド等)の原油需要増加
・中東での戦争による供給量減少

主にこの二つの要因で、需要が多く供給が少ない為、原油の価格が上昇する。

では、労働者の価値はどうだろうか。
平均年収を見てみよう。

非正規雇用平均年収の推移。バブル崩壊後、すぐに年収は低下しなかったが、1998年から年収が低下傾向にある。

統計元:国税庁 民間給与実態統計調査

原油や天然ガスとは違い、年収は年々低下しているのがわかる。 低下する理由は、需要が少なく供給が多いからだ。

労働力の需要と供給という点から見てみよう。
労働者は日本の高齢化に伴い、これから減少する。 つまり、労働力の供給は少なくなっていく。 供給が少なくなるのだから、労働力の価値は高まるはずだ。

しかし、問題は需要面である。 需要が供給以上に低下している。
主に二つの要因で、労働力需要が低下している。
・既存産業が停滞もしくは衰退している。
・新しい産業が発達していない。

下図は僕が考えている日本の労働力の需要供給イメージだ。

労働力の需要供給イメージ。需要はバブル崩壊前の1988年、供給は労働力人口が多い2005年をピークとした。供給はバブル崩壊やリーマンショックといった事件があるたびに顕著に減少する。

労働力の需要供給イメージ

労働力需要のピークはバブル崩壊前の1988年、労働力供給のピークは労働力人口が多い2005年としている。 労働力需要は基本的に減少傾向だ。 そして、バブル崩壊やリーマンショックといった出来事をきっかけに顕著に減少する。 その後、需要が戻らないのも特徴だ。
供給と需要の差があればあるほど、労働者の平均年収は低下していく。

ブラック企業が存続できるのは買い手市場だから

ブラック企業の定義で述べたように、ブラック企業は従業員の労働力搾取によって成り立っている。 ブラック企業が存続できるのは、「買い手市場」だからだ。 労働力を安く買えるから成り立っている。

労働力の需要が供給を上回っていたら売り手市場になる。 逆に、供給が需要を上回っていたら買い手市場になる。

現在の日本は、買い手市場だ。 買い手市場では、労働者の年収が低くなる。 そして、これからも年収が低下していくだろう。 特に、社畜の労働力なんて安く買い叩かれる。

売り手市場ならブラック企業は存続できない。 なぜなら、従業員が居なくなるからだ。 他に良い待遇の会社があるなら、そちらに移るだろう。

ブラック企業は社畜が居なければ存続できない

最初に、「社畜はブラック企業にとって燃料でしかない」と述べた。 一方的に社畜がブラック企業に労働力を搾取される。 これが社畜とブラック企業の関係と思える。

基本的に、お金を払う者がお金を貰う者より、上の立場だ。 社畜とブラック企業なら、立場はブラック企業の方が上とお互いが思っている事だろう。

だが、僕は違うと考えている。 社畜とブラック企業は、対等な関係のはずだ。
なぜなら、ブラック企業という機械もまた、社畜という燃料がなければ稼働できないからだ。

ブラック企業は社畜が居なければ存在できない。 それに対し、社畜はブラック企業がなくても生きていける。 燃料になりたくなければ、辞めればよいだけだ。 そういう意味では、社畜の方が立場は上とも言える。

日本の労働習慣を悪用するブラック企業

それにも関わらず、なぜ社畜はブラック企業の言うままに労働力を搾取されるのか。 原因は、過去の労働習慣にあると思う。
現在の働き方は、戦時期からの習慣に過ぎない。 社畜が企業戦士や会社人間と言われていた時代は、年功序列賃金と終身雇用の恩恵があった。 だから、企業戦士や会社人間は頑張る事ができた。
契約書には記載されていないが、会社に尽くす働き方は「暗黙の了解」とされた。

現在はどうだろうか。 あなたは、年功序列賃金や終身雇用の恩恵を受けていると実感できるだろうか? 労働契約の内容を確かめてほしい。
「長年勤めれば賃金は上がり続けます」「定年まであなたを雇います」なんてどこにも記載されていない。
そして、「会社に尽くして働け」「残業を推奨する。サービス残業はさらに強く推奨する」「有給休暇は取得するな」なんて事も記載されていないはずだ。

労働に関しての「暗黙の了解」もしくは「不文律」は、ブラック企業経営者に都合が良い。
なぜなら、社畜に過剰労働が前提の業務を押し付ける事ができ、その対価を数十年先延ばしにできるからだ。 会社が倒産したり、社畜が辞めれば、対価は支払わずに済む。
社畜はブラック企業に騙され続けている。

企業と従業員は対等の関係だ。
従業員は、燃料でも奴隷でもない。
契約に従って労働をし、対価を得ているだけである。
この事を強く意識しておこう。

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