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ラオックスは買収されてから優れた企業となった

2015年11月9日

ラオックスは売上不振から中国企業に買収されたが

ラオックスという企業をご存知だろうか?
かつて日本各地に出店していた、大手家電量販店だ。
2000年代初頭までは売上が好調だった。
だが、それ以降は、ヤマダ電機やヨドバシカメラ等、他の家電量販店との競争に敗れ、業績が悪化した。
そして、2009年に中国の大手家電量販店蘇寧(そねい)電器に買収された。
この話だけを聞けば、ラオックスはダメな企業だと一蹴されて終わるだろう。

しかし、買収された後のラオックスは、それまでのラオックスとは全く違う企業に変わった。
今や爆買いで知られる中国人を筆頭に、日本への海外旅行者に対する「免税店」になっている。

ラオックスの一人あたり時価総額は日本企業では最高クラス

今のラオックスは、かつて不振だった家電量販店時代と比べて、極めて好調だ。
対して、現在の日本の家電量販店最大手であるヤマダ電機は、売上・利益共に不振で、不採算店舗を60店舗も閉鎖している。
他の家電量販店も、事情はそれほど変わらない。

さらに調べてみると、面白いデータがある。
僕が重要視している「一人あたり時価総額」だ。
(一人あたり時価総額については企業の業績を確かめる参照)

ラオックスの一人あたり時価総額は「1人当たり時価総額が高い300社ランキング」に載っている表によれば、「55,848(万円)」だ。
この数字は、日本企業の中では最高水準だ。

対して、ヤマダ電機の一人あたり時価総額は「1人当たり時価総額が低い300社ランキング」によると、「2,283(万円)」だ。
ラオックスとは24倍以上の差がある。

では、この2社の従業員の質は、24倍もの開きがあるのだろうか?
そんなはずはない。
現在のラオックスは、あくまで「免税店」という店を開いて物品を販売している。
つまり、家電量販店時代とやっている事そのものが根本的に違うわけではない。

では、何が違うのか?
それはビジネスモデルだ。
ビジネスモデルの違いが結果として、一人あたり時価総額において24倍もの差を生じさせている。

時代にあったビジネスモデルを構築しないと儲からないどころか生き残れない

ヤマダ電機や他の家電量販店は、店舗を日本全体に出店している。
購買層も日本人を狙っている。
対して、現在のラオックスは、中国人旅行者向けの免税店に特化している。
「爆買い」で報じられるように、今の中国人の購買意欲は非常に高い。
さらに、免税店事業は競合が少ない。
値下げ競争で互いに消耗している家電量販店とは、似ているようで全然違う結果になる。

既存の事業が立ち行かなくなって中国の企業に身売りしたという点で、ヤマダ電機や他の家電量販店よりも、ラオックスは明らかに「劣っていた」。
それにも関わらず、今ではビジネスモデルが変わったおかげで、完全に逆転してしまっている。

僕はラオックスの件を調べて、強く思った事がある。
それは経営者レベルにおいて、日本企業は中国企業に抜かれているという事だ。
もし、買収される直前のラオックスが、免税店事業(もしくはまったく別の事業)に切り替えていれば、中国企業に買収される前に自力で再建できただろう。
しかし、そうはならなかった。

いずれにせよ、ビジネスモデルは事業を行う上で、何にもまして重要だとつくづく考えさせられる。 自力で事業を行う人も、ビジネスモデルをよく考えたほうが良い。
そうしないと、どれだけ努力しても無駄になってしまいかねない。

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