このサイトについて

社畜について

ブラック企業について

社畜にならないために

ブラック企業を見極める

日本の現状

収入について

FX

支出について

コラム


燃料電池車VS電気自動車

2015年5月11日

ガソリン車から次世代の自動車へ

自動車は、20世紀に生み出された最重要製品のひとつだ。
20世紀において、先進国とは工業国、中でも自動車を大量生産出来る国の事を指した。
日本はその中に入る。 というより、現在に至るまで自動車は、日本の最重要産業だ。

その自動車が変わろうとしている。
ガソリンを燃やして動かす仕組みから別の仕組みになる。
それに伴い、生産方式が変わるし、自動運転等の新しい機能も搭載されようとしている。

次世代の自動車は燃料電池車か電気自動車か?

ガソリンに代わる燃料として、水素かEV(電気)かで、世界の企業が争っている。
基本的には、トヨタを始めとする日本の自動車メーカーは燃料電池車、アメリカのテスラモーターズやグーグルは電気自動車を推進している。

直近では、トヨタとテスラモーターズのCEOであるイーロン・マスク氏の論争があった。
イーロン・マスク氏は「水素の貯蔵や管理の難しさから、燃料電池車に向かうべきではない」と燃料電池車を批判している。
これに対して、トヨタ側は「車両の航続距離や充電時間の長さにより、燃料電池車の方が有利」と反論した。


参考記事
テスラモーターズ、マスクCEOがトヨタの水素燃料電池車「ミライ」生産開始を批判
トヨタ、赤字覚悟で水素燃料電池車発売へ イーロン・マスクや米メディアは酷評

イーロン・マスク氏のコメントを抜粋

「電気分解はエネルギープロセスとして非常に効率が悪い。
例えば、太陽電池パネルを使えば、そこから電気を作り出して直接バッテリーパックに充電できる。
これに比べて電気分解は、水を分解して水素を取り出し、酸素を放り出し、水素を非常に高い圧力で圧縮し(またはそれを液化して)、その後、車に取り込んで燃料電池として使用する。
これは効率としては半分以下であり実にひどい。
どうしてそんなことをするのか? 意味がない」

「水素燃料電池車はまったくのクソだ。 水素は非常に危険なガスだ。 高性能ロケットにはふさわしいだろうが、車には向いていない」

これはどちらが正しいだろうか?
燃料電池車と電気自動車を、以下の3点で比較してみた。

・コスト
・インフラ整備
・量産の難易度

車両のコスト

まずは、車両のコストを考えてみたい。
テスラモーターズの最新モデルである電気自動車「モデルS」は、為替レートによって変動があるが、約800万円程度になる。
対して、トヨタが2014年12月に発売した燃料電池車「ミライ」のメーカー希望価格は、約723万6000円となっている。
現時点では、どちらの自動車もまだまだ高い(トヨタ・ミライは、利益が出る価格ではなく、採算度外視で販売している価格だ)。

ただし、今後は、電気自動車の方が、安くなる可能性がある。
電気自動車は、燃料電池車やガソリン車よりも生産が容易なので、価格競争が起きる為だ。

一方、燃料電池車は、技術的に難しく、参入障壁が高い。
価格競争は起こりにくいだろう。

インフラの整備

まず、電気自動車は、家庭用のコンセントで充電できる。
一方、燃料電池車は、水素ステーション(ガソリンスタンドに相当)に行かないと、燃料を補給できない。
充電という点に対して、電気自動車が大きく優位に立っている。

加えて、水素ステーションの設置費用は莫大だ。
水素ステーションの設置費用が、1基当たり約4億~5億円になる。

1基当たり約4億~5億円は、先進国でも重いコストだ。 ましてや、新興国や発展途上国では、まず無理だ。 インフラ整備という点から、燃料電池車は世界的な普及は難しいと思う。

量産の難易度

量産はどちらの方が出来ているのか?
現時点では、完全に電気自動車だ。
テスラモーターズは、年間数万台生産している。

対して、トヨタ・ミライの年間生産台数は、2016年で2000台、2017年で3000台の予定だ。
上記の参考記事によると、「現状では通常の生産ラインでは作れなく、13人の作業員が手作業で1日3台だけ製造している」そうだ。

現時点で、生産台数が一桁違う。
どちらがより良い自動車か問う前に、燃料電池車は生産台数及び販売台数で追いつけなくなる可能性が高い。

電気自動車の方が良いのに燃料電池車にこだわる理由

以上の比較から、「僕は電気自動車の方が、ほとんどの面で優れている」と思う。
何故、トヨタを筆頭に、日本の自動車メーカーは燃料電池車にこだわるのだろうか?

その理由は、「日本の自動車メーカーは、水素を保存する水素タンク等、作るのが難しい技術を推し進めて、参入障壁を高く保とうとする意図があるから」ではないだろうか。

電気自動車の場合、ガソリン車に比べて、内部の構造が単純で作るのが簡単だ(部品点数もガソリン車に比べて数分の一になる)。
電池さえ何とかなれば、あとはソフトウェアの方がより重要になる。
電気自動車が主役になってしまうと、今まで蓄積してきた自動車メーカーの得意な製造技術が不要になってしまう。

要するに、「自分達の利権を守りたい」という意図が透けて見える。
おそらく、消費者の事など二の次だろう。
僕は、このような動機が最終的に何をもたらすかを予測できる。
日本車のガラパゴス化」だ。

日本のガラパゴス携帯やガラパゴス家電は、現在どうなってしまっただろうか?
燃料電池車へと向かう日本車メーカーは、確実にガラパゴス化への道を歩んでいる」と、僕は感じている。

<<  前のページ  「地方が衰退するのはなぜか?
inserted by FC2 system