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企業の業績を確かめる

2014年1月16日

従業員一人当たりがどれくらい利益を出しているか

ここにA社とB社という二つの企業があるとしよう。
A社は従業員1000人で一年間に1億円の利益を上げる。
一方、B社は従業員10人で一年間に5000万円の利益を上げる。
この場合、どちらの企業が、効率が良い稼ぎ方をしているだろうか。

利益」だけで言えば、A社だ。 B社より倍の利益を上げている。
しかし、「一人当たりの利益」で見ると、B社である。 利益を従業員数で割ると、一人当たりの利益がわかる。
A社の従業員は一人当たりの利益が10万円なのに対し、B社の従業員は500万円の利益を上げている。

そして、日本型企業では、圧倒的にA社のタイプが多い。 昔から名のある大企業は、A社のように多くの従業員が少ない利益の為に働いている。
企業においては、従業員一人当たりがどれくらい効率の良い働き方をしているかが重要になる。

では、従業員がどれくらい効率の良い働き方をしているかを知る一つの指標を教えよう。
一人当たり時価総額」だ。

一人当たり時価総額

「時価総額」は、「株価」と「株発行枚数」を掛けた金額の事だ。 時価総額は、現在と将来を合わせた企業の価値になる。 そして、一人当たり時価総額は、時価総額を従業員数で割った値だ。

計算式は、

一人当たり時価総額 = (株価 × 株発行枚数) ÷ 従業員数

となる。
この数値は、従業員一人当たりがどれくらいの価値を生み出しているのかを表している。
一人当たり時価総額は、企業の経営効率を調べる良い指標になる。

時価総額ランキング上位企業の一人当たり時価総額を調べてみた

下の表は、時価総額ランキング上位20位の一人当たり時価総額を算出したものだ。

時価総額ランキング上位20位の一人当たり時価総額ランキング。2014年1月10日時点。ヤフーファイナンスのデータを使用。昔から名の知られている製造業(トヨタ、ホンダ、ソニー、キヤノン、日産、日立など)ほど一人当たり時価総額が低い事がわかる。

一人当たり時価総額
2014年1月10日時点。ヤフーファイナンスのデータを使用

一人当たり時価総額が100(百万円/人)を上回っている企業を水色、100以下の企業をオレンジで色付けした。 色付けしてわかる事は製造業の値が低い事だ。
トヨタ、ホンダ、デンソー、キヤノン、日産、日立が100(百万円/人)を下回っている事がわかる。
この表には記載していないが、時価総額ランキング21位以下の製造業も値が軒並み低い。
有名企業をいくつか挙げると、パナソニック(11)、東芝(9)、京セラ(27)、ソニー(13)と散々な結果だ。

逆に金融、通信、ITは製造業より高い事がわかる。
どれも製造業と比べると、従業員数が少ない。
例えば、IT企業は儲けるアイディアさえあれば、最小限の資金と人数で起業する事ができる。
製造業と比べれば、敷居は格段に低い。

ところで、紫で色付けした企業がある。
時価総額ランキング14位の「ファナック」だ。
ファナックは企業向けのビジネスを展開していて、一般的にはあまり知られていない。 ファナックは製造業だ。 他製造業が軒並み低い値の中、ファナックは「810」と他と比べて極めて高い。

ファナックは、主に工作機械用NC(数値制御)や産業ロボットを製造している。
工作機械用NC(数値制御)装置世界首位で、日本国内だけでなく、世界シェアも高い。
他製造業とは違い、ファナックは唯一の強みを持っている。
キヤノンと比べると、時価総額はほぼ同じで、従業員数は40分の1だ。
わずか5000人の従業員で、これだけの価値を生み出すのは驚愕に値する。
こういった企業が、名だけではない、「本当の優良企業」である。
一人当たり時価総額は、隠れた優良企業を探すのに役立つ。

社畜グレイイラスト、時価総額だけでは「企業の規模」しか計れない。「企業の質」を調べるには一人当たり時価総額を活用しよう。

上場企業以外は算出できない

一人当たり時価総額の注意点を何点か挙げていく。

時価総額は、株価と株発行枚数で算出される。
その為、上場していない中小企業の一人当たり時価総額を計算できない。 その場合は、企業ホームページで「売上」「利益」を調べよう。
一人当たり時価総額ほどではないが、「一人当たり売上」「一人当たり利益」もある程度の参考になる(もっとも、売上どころか従業員数すら公開してない企業は調べる事ができない)。

絶対的な数値ではない

時価総額は、企業の力以外にも、国の情勢や為替等で変動する。
その為、どうしても相対的な数値になってしまう。
2014年1月時点で言えば、国の政策(アベノミクス)で株価と為替が大きく変動した。 特に各企業の株価は倍近くになった。
その影響を考えると、上記の一人当たり時価総額に補正値を掛けた方が良いかもしれない。
僕の考えでは、アベノミクスで日経平均株価はほぼ2倍になったが、企業の力は変わっていない(むしろ弱体化している)。 つまり、現在の株価は適正とは考えにくい。
よって、2倍になった株価分を補正した方が良い。
下記の表には、補正値(×0.5)を掛けている。

時価総額ランキング上位20位の一人当たり時価総額ランキング(補正バージョン)。補正値として0.5を乗算。2014年1月10日時点。ヤフーファイナンスのデータを使用。現時点での一人当たり時価総額は、アベノミクス影響で株バブルとなっている為、それぞれの値に0.5を乗算した。

一人当たり時価総額(補正バージョン)
2014年1月10日時点。ヤフーファイナンスのデータを使用。

数値が高いからといって、必ずしもホワイト企業であるとは限らない

一人当たり時価総額の従業員は、企業と企業グループの従業員の合計である。
つまり、この従業員の合計には、パート・アルバイト、派遣、グループ外の下請や孫請企業の従業員等は含まれていない。 時価総額ランキングに載るような大企業は、自社従業員以外の労働者も働いている。 その為、「本当の」一人当たり時価総額は、計算して算出された値よりも低くなるだろう。
もしかすると、ランキング上位企業の高い時価総額は、自社従業員を含む労働者が過剰に酷使された結果なのかもしれない。

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