3Dプリンターが及ぼす経済への影響
2015年3月23日
3Dプリンターの性能が上がり普及したら
3Dプリンターは製造革命を起こすのページで、3Dプリンターについて述べた。
3Dプリンターが現在よりさらに成長し、広く使われるようになると、経済全体に対してどのような影響があるだろうか?
僕の考えを述べよう。
従来の工場でのモノづくりの特徴
まず、従来の工場でのモノづくりについて考えてみたい。
工場では、製品の「大量生産」が行われている。
例外はあるが、基本的に大量生産で、少量の生産ではない。
なぜ、少量ではないのかというと、大量に作らないと、機械や金型の費用が回収出来ないからだ。
大量に生産して販売すれば、高価な機械の費用も回収出来る。 そして、ひとつひとつの製品の価格は、安く設定できる。
逆に、少量の生産の場合は、コストが高くなる。 実際に、少量生産の高級ブランドは、極端に高い。 機械の費用を回収する為に、1個当たりの価格を高く設定しないといけないからだ。
一部のマニアにだけ売れるような製品では、大量生産しても売り切れない。
だから、万人受けする無難なデザインや機能が選ばれる。
要するに、今までの製品は、「安い大量生産品」か「高品質だが高額な製品」のどちらかしかなかった。
3Dプリンターの登場によりモノづくりが変わる
大量に物を作る為には、大きな工場が必要だったり、人手も要る。 なにより、莫大な資金が必要だ。 だから、従来のモノづくりは、大企業が有利だった。
この状況が、3Dプリンターの登場により、大きく変わる可能性がある。
今までの製品は、専用の機械や金型が必要だった。
デザインやちょっとした機能の変更をするだけでも、金型を変更しなければいけない為、コストがかかる。
それが、3Dプリンターの場合、データの変更をするだけで済むようになる。
「実物の機械や金型の変更」と「データの変更」なら、当然、後者の方が容易だし費用も安く済む。
この理由により、モノづくりに対する大企業の優位性は、どんどん薄れていくだろう。
3Dプリンターの登場により企業も労働者の働き方も変わる
上記で述べた事は、生産者側の都合だ。
もし、あなたが「従来の大量生産品」と「自分だけのたったひとつの製品」が、ほとんど変わらない価格で購入出来るとしたら、どちらを選ぶだろう?
答えは、まず後者だろう。
より重要なのは、消費者の選択である。
3Dプリンターの登場により、企業は変わっていくだろう。
企業の規模は、現在の大企業のサイズからはるかに縮小し、小規模な企業が多数存在するようになる可能性が高い。
労働者の働き方も変わるだろう。
「何かの製品の研究開発をしたいと思って大企業に入社する」という人生設計も、意味を成さなくなるかもしれない。
何故なら、作りたい製品は、手持ちの3Dプリンターに指示すれば手に入るからだ。
さらに、その製品をネット通販で販売する事も出来る。
僕は3Dプリンターに、本当に期待している。
何かを生み出す行為を企業に頼らずに、自分で行う事が出来れば最高だ。