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「日本企業の六重苦」は大企業だけの問題

2015年9月7日

六重苦とはなにか?

「六重苦」という言葉がある。
下記はコトバンクによる説明だ。


企業経営者らが諸外国と比べて日本の事業環境が不利な要素としてあげる6項目。
一般的には、円高▽高い法人税率▽自由貿易協定への対応の遅れ▽製造業の派遣禁止などの労働規制▽環境規制の強化▽電力不足――。
経済産業省によると、2011年時点の法人実効税率は日本(東京都)の40.69%に対して、米国(カリフォルニア州)が40.75%、ドイツが29.41%、韓国が24.2%など。
日本は法人減税と復興増税があり、12年度は38.01%になる予定。

つまり、六重苦とは「日本企業は他国の企業と比べて以下の6項目で不利」という主張である。

・円高
・高い法人税率
・自由貿易協定への対応の遅れ
・製造業の派遣禁止などの労働規制
・環境規制の強化
・電力不足

僕は、この「六重苦」という言葉が大嫌いだ。
特に言いたい事は、以下の2点である。

・日本企業の約7割は法人税を払っていない
・六重苦のほとんどは大企業だけの問題

日本企業の約7割は法人税を払っていない

赤字企業の割合で述べたが、日本企業の約7割は赤字だ。
六重苦の項目のひとつに「高い法人税率」を挙げているが、多くの日本企業は法人税を払っていないので無関係である。

そもそも、日本企業は税制面において、すごく優遇されている。
スタートアップ時には、申請すれば補助金が貰える。
様々な支出を経費(待遇者を従業員として雇う等)として計上できる。
リーマンショックのような経済危機時には、従業員の人件費をほぼ全額負担してもらえた。
赤字の場合には、法人税を払わなくてもよい。

これらの恩恵は、労働者や法人登録をしていない個人事業主(自営業者)では、受ける事ができない。
様々な恩恵があるにも関わらず、約7割の企業は赤字で法人税を支払っていない。 そして、黒字になっている残り約3割の企業も、六重苦に高い法人税を挙げている事からわかるように、「法人税を多く支払いたくない」と宣言しているようなものだ。

企業は、法人税を支払う事で、存在が許されている。
「赤字企業が7割、黒字企業の3割も法人税を払いたくない」では、日本企業の存在意義を疑ってしまう。

六重苦のほとんどは大企業だけの問題

日本で「企業」という言葉が使われる時、大抵は「大企業」をイメージする。
つまり、トヨタ、ホンダ、日産、ソニー、NEC等を指している場合が多い。
六重苦は、多くの大企業(特に製造業)にとって困るだろう。
しかし、規模の小さい中小企業にとって、問題かどうかは疑問である。

それどころか、大企業と中小企業(もしくは大企業と国民)では、利益が相反する場合が多い。

六重苦のひとつである「円高」は、企業の利益が減るので良くない事とされている。
しかし、中小企業や多くの国民にとって望ましい事だ(「円安のメリットはもうない」参照)。
なぜなら、自国通貨の価値が高いからこそ、海外の原料や商品を安く輸入できるからだ。

例えば、100円ショップは、円の価値が高いからこそできるビジネスだ。
日本企業は、海外の商品を安く輸入して販売し、利益を得る。
日本国民は、安い商品を購入できる。
これは、円の価値が高いからこそ受けられる恩恵だ。
もし、円の価値が低いままだったら(例えば1ドル360円のままだったら)、100円ショップは存在しなかっただろう。

「製造業の派遣禁止などの労働規制」はどうだろうか。
自動車産業や家電産業等の大企業にとっては、労働規制が緩和されれば、人件費を安く抑えられるので、メリットになる。
しかし、労働者にとっては、安くこき使われるだけであって、デメリットしかない。

六重苦は既得権益層にとって問題なだけ

日本で、大企業と分類されている企業は、1%未満で、ごく少数だ。
意図して悪い言い方をすると、日本の大企業の多くは、「既得権益層」と言い換える事ができる。

上記で述べたように、六重苦は、ごく少数である既得権益層の問題だ。
六重苦に限らず、日本では、既得権益層だけの問題が、堂々と主張される場合が多い。
「デフレ悪」や「デフレスパイラル」はその典型だ。
「若者の○○離れ」は若者自体の問題ではないで述べたように、「若者のテレビ離れ」「若者の新聞離れ」「若者の車離れ」も同様で、ごく一部だけの問題だ。

既得権益や利権という言葉は、多くの人が嫌いなはずだ。
それにも関わらず、既得権益層だけの問題が、さも日本全体の問題であるかのように声高に主張されるのは、僕には納得がいかない。

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